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井戸跡の一基に埋められていた人魚供養札は、薄い杉材を利用したもので、赤外線写真によって文字と絵が上半部に墨書きされていることがわかりました。絵は、上に僧侶、下に人魚が描かれていて、人魚の前には供物を載せたと思われるお盆とその上にお椀が描かれています。 人魚は2手2足を持ち人面・魚身で顔と足を除く部分には鱗があり、僧侶は袈裟に高下駄姿で長めの数珠を手にしています。 人魚の両側には文字があり、 「アラツタナヤ 弓(テ)ウチ テウチ(繰り返し符号) ニトテ候 そわ可」、 あるいは 前者は「あらかわいそう(だけれども)殺してしまえ そわ可」、 文末の「そわ可」は梵語で成就を意味し、語尾に「・・・ソワカ」とつけ病気治療や疫病予防などの祈願や呪文の際に唱えられたとされています。 人魚供養札が埋め込まれていた井戸に使用されていた樹皮付杉材が年輪年代測定法により弘安九年(1286)の伐採と判明したため、ほぼ時代を特定することができました。 鎌倉時代人魚は凶兆とされ、弘安の役にみられるような異民族来襲の警護、異国降伏、凶事除災に懸命だった幕府や、当時のこの地方の状況を物語る資料として全国的な注目を集めています。 |